英語や外国についてアレコレ書いてみるヨー(・Д・)ノ

現英語講師&翻訳家(元医療系専門学校・英語講師)が書いているブログ。英語苦手さん・初心者さんに、ちょっと役立つマメ知識、気になるニュース、体験したことなどを書いています。

【広島原爆の日】原爆を落とした戦闘機「エノラ・ゲイ」をアメリカ人とみた話し。

8月6日、【広島原爆の日】です。
「原爆」について海外で体験したことと、それがきっかけで、海外のニュースをチェックするようになったお話しです。
 
私は若いころバックパッカーで、よくアメリカをフラフラしていました。
ユースホステルに泊まって、現地で知り合った人と旅をしたり。
「ここ、寄ってく? 一緒に行かない?」と、誰かから話がでて、知らなかった場所に、知り合った人たちと行くのも好きでした。

あるとき、10人程度のグループで、とても広い博物館へ。
そこには 「エノラ・ゲイ」と呼ばれる、 戦闘機が飾ってありました
私は恥ずかしながら「エノラ・ゲイ」を知らなくて、その場で「原爆を落とした戦闘機である」ことを、はじめて知りましした。

見た目は、古くて小さいし「え?これで?」という印象。B-29ってそんなに大きくないんですよね。
 
 
 
その後、飛行機の周りの展示をみて絶句。
 
「原爆」と聞くと、私の中では「はだしのゲン」のイメージです。
内容は細かく覚えていないけれど、「焼野原」「地獄」「髪の毛が抜ける」「白血病」「火傷」「たくさんの死体」....という、とにかく悲惨な感覚が、当たり前にありました。

 

はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻

はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻

 

 小学生で読んでトラウマになったような記憶。。

 
ところが、エノラ・ゲイの周りにある展示は、カッコいいヒーローものです。

「開発ストーリー」から、どんな人たちが、どんな大変なチャレンジをして、エノラ・ゲイを作りあげたのか。世界初の原爆をとうとう完成させた!すごい人たちだ!!!という英雄扱い。
 
そして、エノラ・ゲイから原爆を落とす当日のモニター。白黒で、日本の街の様子が映ります。「あそこに落とす」「やった!」・・・・日本を降伏させたぞ!!!
 
…で終わり。
 
まるで、ヒーローが悪者をやっつける映画のようでした。「めでたしめでたし。」な終わり方。
ショックで吐きそうな私に追い打ちをかけるように、「戦争でおじいちゃんを日本人に殺されたんだ」と一緒に行ったアメリカ人に言われました。
私は何も言えませんでした。
泣くことも吐くことも、許されなかった気がして。
「日本人=悪者」が、そこでの共通認識。原爆を落とされても文句を言える立場ではない。という雰囲気に完全に飲まれていて、私もそう思ってしまいました。
 
...とは、今だから冷静にそう思うのですが。
あまりの価値観の違いにもショックだったんですよね。
原爆=悲惨なもの 、目も当てられない悲劇
が、
原爆=素晴らしい発明!正義の証明!オレたち強い!
(あくまで主観です)

そんなことってある?
原爆を落とした後の、日本の苦しみには一切ふれず、「開発した!落とした!やった!英雄!」なノリが、ただただ辛かったのです。
戦争って、時が経っても人を傷つける。

あそこに「はだしのゲン」や「火垂るの墓」を紹介する場があったらな、って思いました。
みんな、(1時間前までワクワク話していた、一緒に博物館に来たひとたち)そのあと、広島で何が起こったのか知らないんだ。。。
 
彼らにとっては「すごいものを開発」して、落として、「悪者を降伏させ」て、「良い環境にしてあげた」というサクセスストーリー。
「私たちは正義、素晴らしいことをしたんだ」と、教育を受けている。
 
戦後教育に限らずですが、
【双方〜立場が違う人から見た事実を知る、知ろうとする】ことは大事だなぁと、つくづく思います。
「教育」含み、「自分の周りで当たり前のように語られること・共通に見える認識」って、本当は全く違っていて「不都合な真実」は隠されていてるかもしれない。
誰かにとって、とても都合が良いストーリーになって、さも事実のようになっている。本当は「正解はない」かもしれないんだ。
 
ということを、痛烈に感じさせられた日でした。
 
この博物館に行った日があったから、より熱心に世界の新聞の見出しをチェックするようになった気がします。
 
英語に触れるモチベーションとして、「多面的な・違う立場からの感情・事実を知ることができる」というのは、とても大きいです。
 
同じことに関するニュースでも、海外での伝えられ方を英語で見ることで、新しい発見、ビックリすること、自分の価値観の狭さ・・を知ることができます。
 
それが、とても面白いんですよ。
海外メディアの見出しだけでも、ぜひ英語でチェックしてみてくださいね!
 
。。という強引な締めでおしまい。
長いお話し、お読みいただきありがとうございました!
 
 
注・15年も前の話なので、展示や内容(英雄色)は変わっているかもしれません。
オバナ大統領が広島に来て、スピーチをしたり、原爆被爆者に会っていますからね。
 
・オマケ
「世界初の原爆を広島に落とした、戦闘機のナビゲーターが来る!」みたいなイベントがあったんだな。。

www.nationalmuseum.af.mil

 

はだしのゲン、英語と日本語の絵本を発見! エノラ・ゲイ の横に置いてほしい。

絵本はだしのゲン―新装・英日版

絵本はだしのゲン―新装・英日版